ご存知ないかもしれませんが、2018年4月時点で、全国に通信制高校は253校あります。
そのうち、公立通信制高校は全国に78校あり、各都道府県に必ず1校以上はあります。
一方私立通信制高校は全国に175校あり、比率は3対7となっています。
ちなみに、全日制高校の場合ですと、4263校のうち1291校が私立高校であり、比率として、通信制高校とは真逆です。
通信制高校への入学を検討している方なら、きっと公立通信制高校と私立通信制高校の違いについて気になりますよね。
こちらでは、公立通信制高校と私立通信制高校の違いを学費・卒業率・サポート体制について解説していきますので、ぜひ、参考にしてください。
目次
安くて通いたいなら公立がよい
公立通信制高校と私立通信制高校の一番の違いは、学費です。
結論を先に言えば、10倍ほどの差があります。
学費で学校を決めるわけにはいかないものの、やはり大事な指標の一つなので、具体的に見ていきましょう。
公立の学費はとにかく安い
公立通信制高校は地方自治体の予算で運営されているため、学費は安いが、入学できる生徒は、その地域に住んでいる人や在勤者です。
都道府県によって異なる場合もありますが、基本的には「入学金」、「受講料(授業料)」、「諸費用」の3つに分けられています。
入学金は500円のところが多く、公立通信制高校によって無料の場合もあります。
通信制高校の場合、三年間で74単位受講することが卒業条件となっています。
単位ごとに費用が発生する仕組みとなっているので、「授業料」と呼ばず、「受講料」と呼ぶのが一般的です。
公立通信制高校の受講料は、一般的に330円~700円程度です。
受講料を高めの500円にした場合、500円×74単位=37000円です。
諸費用は年に20000円程度なので、20000円×3年=60000円です。
テキスト代は年に15000円程度で、15000円×3年=45000円です。
3年間でかかる費用は37000円+60000円+45000円=142000円です。
これでも高い場合で、平均的に見れば、公立通信制高校の卒業するまでの費用約10万円程で済みます。
私立の学費は公立よりずっと高い
それでは、私立通信制高校の学費はどうなのでしょう。
私立通信制高校の場合、費用項目は公立通信制高校よりも詳しくなります。
ほとんどの公立通信制高校の費用項目は「入学金」、「受講料」、「諸費用」しかないことが多いですが、私立通信制高校の費用項目は「入学金」と「受講料」の他に、「施設費」、「通信費」、「教育関連諸費」、「イベント参加費」など、「諸費用」がより詳しく提示されることが多く、それに伴って費用も公立通信制高校よりもかなり高くなります。
私立通信制高校の入学金として、一般的には5万円が目安となっています。
受講料としては、平均的には1単位1万円程度ですので、受講料だけで、3年間で70万円程かかります。
諸費用は詳しく分けられており、全部合わせれば平均的に15万円程あります。
3年間でかかる費用は言うまでもなく150万を簡単に超えてしまうところが多いので、公立通信制高校と比べて圧倒的に費用が高いです。
卒業できるかどうかは個人次第
卒業率は、高校の良し悪しを判断するときに大事な指標の一つです。
実は、通信制高校の卒業率を出すのは困難です。
全日制高校と同じ基準で、3年間での卒業率を大雑把に計算するのでれば、公立通信制高校と私立通信制高校の卒業率の差は2倍程の差があります。
私立通信制高校のほうが、圧倒的に卒業率が高いです。
それはなぜなのかを具体的に見ていきましょう。
公立での卒業はやや難しい
まず、通信制高校では、3年以上在籍することもできるため、働きながら通学をし、10年以上かけてやっと通信制高校を卒業したという人も少なくありません。
さらに途中入学の転入生もかなりいますし、前述のように、明確な卒業率は出せません。
学年がないので「留年」というストレスもありません。
公立通信制高校の生徒の多くはすでに働いていますし、公立通信制高校の学費も安いので、必ずしも3年間で卒業をする必要はないということです。
そのためか、6年以上在籍している生徒も多く、3年間で卒業できた生徒は20%未満であり、かなり低いと言えます。
私立の卒業率は比較的に高い
私立通信制高校の3年間での卒業率は40%近く、公立通信制高校より2倍程高いといわれています。
中には、90%以上の卒業率を誇る学校もあります。
学費は公立通信制高校よりも10倍近く高いですから、6年以上在籍するというのはコストがかかりすぎます。
学費を抑えるためにも早く卒業をしたいものですね。
サポート体制の充実さなら私立がおすすめ
同じ通信制高校とはいえ、サポート体制は全然違います。
一言で言いますと、学費の高い私立通信制高校のほうが圧倒的なサポートの手厚さを持っています。
自主性を前提にしている公立通信制高校
通信制高校、特に公立通信制高校は基本的に在宅学習が中心であり、自主性の高さが求められます。
積極的に質問をすれば教えてはくれますが、逆に言いますとこっちが積極的に学習をとらなければ、学校側も受け身になってしまうと言えます。
働きながら公立通信制高校に通い、勉強に使う時間が非常に限られている生徒も多数いますから、学校側もそういった生徒に気を遣い、余計なことを聞かないようにしているでしょう。
また、公立通信制高校での勉強は基礎力が問われます。
中学校時代でのさまざまな原因で、学力が中学校の卒業レベルに達していない場合、最初の勉強についていけないこともあり、ストレスになる可能性があります。
サポートが手厚い私立通信制高校
私立通信制高校の学費は公立通信制高校より10倍ほど高いですが、その分、サポートが手厚いです。
公立通信制高校では基本的にコースは一つしかなく、スクーリングや単位認定試験の日程が決まっていて、柔軟な対応はしてくれません。
一方私立通信制高校ではコースがたくさん用意されており、たとえば、芸能・アート・声優・調理・美容などさまざまなコースが設けられています。
専門学校に提携している学校もあって進学しやすいですし、就職に役立つ資格・スキルも取れます。
規定以上の教員が所属している私立通信制高校も多いですから、サポートが手厚いのもおかしくはありません。
まとめ
学費・卒業率・サポート体制について紹介してきましたが、どちらのほうがいいのかという判断を下すことはできたのでしょうか。
ましまだ迷いがあれば、もう一度整理をしましょう。
公立通信制高校は、学費が安いが、サポートについて不足はないものの、細かな対応はしてくれません。
もちろん、定められた指導以上も望めないでしょう。
そのため、非常に高い自主性が求められます。
その一方私立通信制高校では、学費は公立通信制高校よりも10倍程高くなりますが、その分サポートについては申し分ないです。
規定以上の教員が所属し、さらに言えばカウンセラーがいる私立通信制高校もあり、全面的にサポートをしてくれます。
また、小中学校の知識を忘れてしまいましたら、もう一回最初から教えてくれる私立通信制高校もあります。
公立通信制高校と違って、自分に合わせて通学日数も選べますし、自分のペースで受講することができます。
さらに、コースが多くて、進学・就職に役立つさまざまな専門知識・技術も学べるのも、私立通信制高校の特徴です。
学費のこと以外は、私立通信制高校のほうが優れています。
すでに働いていおり、卒業するまでの時間は気にしない方には、公立通信制高校のほうが圧倒的に安いのでおすすめです。