通信制高校に進学しましたが、卒業後の進路について不安を感じている人は少なくないでしょう。
「通信制高校卒って、大学進学で不利になるだろう」と、不安を抱えているかもしれませんが、実はそんなことはまったくありません。
通信制高校卒でもいい大学に進学できた学生もたくさんいて、学業で頑張った分はしっかり報われます。
ここでは、通信制高校の進学状況と大学進学ためのコツを紹介していきます。
目次
通信制高校の進学状況とその背景
通信制高校は大学進学の割合が低いというイメージがつきがちですが、それは事実なのでしょうか?
大学受験制度に通信制高校に不利がない
通信制高校の進学現状を把握するために、まず文部科学省が発表しているデータから見ていきましょう。
そのデータによりますと、
大学への進学率 | 全日制高校54.4% | 通信制高校16.6% |
---|---|---|
専修学校への進学率 | 全日制高校23.0% | 通信制高校23.8% |
出典:文部科学省平成29年度学校基本調査
このデータを見ると、専修学校への進学率は全日制と通信制で大きな差はありません。
しかし、大学への進学率には差があり、やはり通信制高校から大学へ進学する割合は全日制より低くなっているのがわかります。
どうして通信制高校の大学進学率はこのような低い割合になっているのでしょうか。
まず大学受験ではどこの高校出身であるのかという情報を提示するために卒業証明書というものが必要になりますが、通信制高校の卒業証明書には学校名は記載されるものの、通信制高校であるという情報は記載されません。
大学側に通信制高校だと知られることはないので、受験で不利にはたらくこともないのです。
通信制でも推薦入試とAO入試が可能
また、あまり知られてはいませんが、学校によって、全日制高校のように指定校推薦もありますし、AO入試を受けることもできます。
受験の制度において全日制高校との違いはほぼないのです。
このように、通信制高校だからといって大学受験で不利な立場になるということは決してありません。
では、受験資格に差がないのに通信制高校の進学率が低い理由は何にあるのでしょうか。
通信制高校の大学進学率が若干低い理由とは?
それは通信制高校の学習面にあるかもしれません。
通信制高校の特性上、レポートやテストが全日制高校のものよりも簡単なものになっている場合が多いです。
そうすると学習量が必然的に全日制高校に劣り、受験勉強の際に苦労するようになってしまいます。
また、通信制高校は全日制高校のような、わからないことをすぐに先生に教えてもらえる環境が整っていません。
そうすると学習に時間がかかってしまったり、わからない部分がそのままになったりしてしまいます。
友達が少ないと進学に不利かも
もう一つの原因として、一緒に大学進学を目指して頑張れる友達や仲間が周りにいないということも考えられます。
通信制高校は性格上、全日制高校と比べると、どうしても通学の日数が少なくなってしまって、友達を作るのもなかなか難しいものです。
そのような孤独感のなかで受験勉強をするのは精神的にもつらくなります。
これらが通信制高校で大学進学を目指す際の不利な点となり、多くの生徒が大学進学を望まない理由につながっていると思います。
通信制高校で大学進学を目指すには?
上記で述べたように、通信制高校で大学進学を目指す際に学習面やあ環境面で多少不利となってしまう点があり、実際の大学進学率も低くなってしまっているのは事実です。
しかし通信制高校出身でありながら、名門と言われる難関の国立大学や早慶上智などの有名私立大学へ進学している学生がたくさんいるのも事実です。
通信制高校だからといって大学進学を諦める必要はないのです。
では、どのようなポイントをつかめば大学受験を乗り切ることができるのでしょうか。
大学進学は自分のためだという意識を持つ
これは通信制高校でも全日制高校でも同じですが、大学に進学するのは自分のためだという意識を持つことは非常に大切です。
「だいたいみんな大学に進学するから」、「世間一般的に大学に進学することが偉いというイメージがあるから」、「親や先生に勧められたから」など、漠然とした理由で大学進学を目指していてもモチベーションがなかなか上がらないでしょう。
いい結果にならなかったり、挫折したりしてしまっても仕方はありません。
大学進学は自分の将来のため、親や先生や世間体のために行くのではないという意識を持つだけで、受験勉強へのモチベーションはぐんと上がり、それが良い結果につながるでしょう。
進学の支援が手厚い学校を選ぶ
通信制高校でも学校によっては、大学進学を全面的にサポートしてくれる学校もあります。
受験対策・AO対策がコースに組み込まれている学校もあります。
最終的に受験勉強は個人の勉強次第となりますが、教師のサポートが手厚く、受験勉強をしやすい環境を整えてくれる学校であれば、受験勉強の効率も上がります。
現在すでに通信制高校へ通っているがそのような制度がないという場合でも、個別にサポートをしてくれるかもしれないので一度学校に相談してみるといいかもしれません。
卒業ではなく進学を目標に
当初から通信制高校を卒業することだけを目標にしていたら学習の習熟度も卒業程度のものになってしまいます。
卒業ではなく進学を目標にすることで学習面も精神面も高い位置に保つことができます。
それが受験勉強の負担軽減にもつながるでしょう。
通信制高校にもメリットがある!
逆に、通信制高校にも大学進学において不利な点ばかりでなく、通信制高校だからこそのメリットもあります。
具体的にいいますと、
- 自分のペースで勉強できる
- お金を貯めながら通える
- 様々な事情に対応してくれる
このメリットをうまく活用できれば大学進学の可能性を広げることもできるでしょう。
メリットその1:自分のペースで勉強できる
通信制高校は自由な時間が多いです。
学校にもよりますが、基本的には月2~10回の登校とレポートの提出やテストがあります。
それ以外の時間の使い方は自由です。
全日制高校だと自分で勉強できる時間は限られていますが、通信制高校の場合自習時間の確保が非常にしやすいです。
やはり自分のペースで勉強ができるという点は受験勉強においてかなり重要です。
誰かに学習内容を指示されるよりも自分で学習する方がやる気もでるし、やりやすいという生徒にとってはこのような環境はかなりの強みになります。
メリットその2:お金を貯めながら通える
もともと通信制高校は学費が安くすむために、家庭の経済的な余裕がないという理由で通信制高校に通う生徒もいます。
通信制高校は自由な時間が多いために、アルバイトをして働きながら通うことも可能です。
ですから経済的に余裕がないことを理由に大学進学を断念する必要もありません。
アルバイトで受験費用を貯め、奨学金等を利用すれば大学進学は決して不可能なことではないのです。
メリットその3:様々な事情に対応してくれる
通信制高校には、いじめ・不登校を経験している人、障害・病気を持っている人、理由があって大人になってから通いだした人など、さまざまな事情を抱えた人が多く通っています。
その分、カウンセラーがいてくれたり、あまり人と関わらなくてすむ環境を整えてくれたりと、多様に対応してくれます。
事情があるが大学進学を目指したいという人に、細やかに対応してくれます。
このような態勢は全日制高校ではなかなかないので、この点も通信制高校特有のメリットといえるでしょう。
通信制高校で大学進学を目指そう
なにかとネガティブなイメージがつきがちな通信制高校。
しかし通信制高校であることをコンプレックスに思う必要は一切ありません。
全日制高校や定時制高校が減少しているなかで通信制高校は少しずつ増加しています。
それだけ需要は増えているということになって、そのなかでも多様なコースを持った通信制高校が増えています。
通信制高校だけで不安な場合はサポート校などの利用をするのもいいでしょう。
通信制高校は全日制高校と同じく、一つの学びの形態にすぎないのです。
大学進学も十分に可能なので、自信を持って進学を目指してください!