通信制高校を卒業して高卒資格を得ても、全日制の高校を卒業したわけではないから、就職活動のときに高卒と認めてもらえないのではないか。
このような不安を持つ方もいらっしゃると思います。
しかし、通信制高校へ通い、高卒資格を得ることはけっして無駄なことでありません。中卒であるか高卒であるかは、就職活動に大きな影響をもたらすのです。
この記事では、通信制高校を卒業しても就職の際に高卒として認められるのか、また、就職に対する不安を打ち消すためにはどうすればよいのかについて、詳しく紹介していきたいと思います。
そもそも通信制高校を卒業すると就職で良いことがあるの?
エントリーできる企業が増える
企業の応募条件を調べてみると、多くの企業が高校卒業を応募条件としていることがわかります。つまり、高校を卒業していなければ、自分が就職を希望している企業へエントリーさえもできないのです。中卒を雇ってくれる企業の数はかなり限られているので、中卒で自分のやりたい仕事に就ける可能性は極めて低いです。
一方で、通信制高校を卒業し、高卒資格を得れば応募できる企業の選択肢を増やすことができます。さまざまな企業にエントリーすることで就職のチャンスも増えるので、通信制高校へ通い高卒資格を得ることは就職において大変有意義なことだといえます。
通信制高校を卒業しても、企業は高卒とみなすのか?
企業にもよるが、一般的な中小企業であれば高卒とみなす
通信制高校へ通い高卒資格を得れば、中卒のままでいるより就職において有利になるということがわかっていただけたと思います。しかし、通信制高校卒業は本当に高卒とみなされるのか不安が残る方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、とても有名な一流企業は、通信制高校を高卒としてみなさないかもしれません。しかし、通信制高校を高卒としない企業ばかりではありません。
「高卒」の定義づけは企業によって異なってきます。
さまざまな苦労があったにも関わらず、通信制高校へ通ってきちんと卒業したことへプラスの評価をする企業。通信制高校でも全日制高校でもいいが、高校卒業程度の学力は持っていて欲しいから応募条件とした企業。
このように高卒をどのようにとらえるかは企業によりけりですが、一般的な中小企業であれば、通信制高校卒業を高卒とみなしています。
通信制高校は就職の際、人事からどのようにみられるのか
通信制高校に対する評価が上がっている
通信制高校を卒業して、高卒という応募資格を満たしたとしても、通信制高校に対して人事がマイナスのイメージを持っていたら就職のときに不利なのではないかと心配している皆さん、朗報です。
ここ数年で通信制高校に対する人事からの評価は上がってきています。
今までは、高校中退やいじめを経験したことにより全日制の高校へ通うことが困難な生徒が通信制高校へ通っているというイメージがありました。
しかし近年では、この見方が変わってきています。通信制高校には自分のやりたいことや専門的なことを学ぶために通っている生徒も多いというイメージを持たれるようになってきました。加えて、通信制高校という自由度の高い教育方法にも注目を置かれています。カリキュラムに従って受動的に勉強していく全日制高校と比べて、通信制高校では自分のやりたいことと勉強を両立し卒業するために、生徒自身が自己管理しながら勉強していく必要があります。
人に言われて物事を行うのではなく、自主的に物事に取り組む環境作りがされている通信制高校は、積極的に物事を行える生徒を育てられると注目されてきているのです。
学歴より人柄重視の採用
近年では、通信制高校を卒業したという学歴ではなく、人柄を重視して採用するようになってきています。そのため、通信制高校を選んだことでどのようなことを達成できたか、通信制高校や課外活動での困難をどのようにして乗り越えていったかについて筋道を立てて説明できことが、就職において非常に重要です。
通信制高校卒業という学歴に不安を感じるのではなく、「ぜひこの企業で働いてもらいたい」と人事に思ってもらえるような経験を、通信制高校卒業までに得るようにしましょう。
ここまでは、通信制高校を卒業しても「高卒」とみなしてもらえるのか、人事から通信制高校卒業はどのようにみられているのかについて述べてきました。ここからは、この記事の本題である、就職活動のときの通信制高校卒業に対する不安を解消する方法について紹介していきたいと思います。
不安解消法① 大学に進学する
通信制高校を卒業すると高卒資格を得られるので、大学や専門学校という次のステップへ進むことができます。多くの企業が就職の際に重要視するのは最終学歴です。
大学や専門学校へ進学できれば、通信制高校を卒業したことは就職に関係なくなります。
まれに、どうして通信制高校に通っていたのか面接で聞かれる場合があるかもしれませんが、この質問が来たら、自分のアピールができるチャンスであると捉えましょう。なぜなら、通信制高校から大学へ進学するのは容易ではありません。通信制高校はさまざまな事情を持った人が通えるように、全日制高校の授業内容よりレベルを低く設定してあります。そのため、通信制高校での授業内容で満足するのではなく、発展的な内容についても自ら学習していく必要があります。
このように、現状に満足せずより高みを目指して学習し、大学受験という難関を乗り越えたという経験は、就職活動の際、あなたの大きな強みにもなるのです。
不安解消法② 特別な資格を得る
通信制学校を卒業したら大学進学ではなく就職したいと思っている方には、通信制高校在学中に資格を得ることをおすすめします。
高校生でも取得することができ、就職の際に有利になる資格としては以下が挙げられます。
・簿記検定
・秘書検定
・MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
・TOEIC
・宅地建物取扱主任者(宅建士)
・電卓技能検定
これらの資格を得たから、必ず就職できるというわけではありません。しかし、ただ単にその企業で働きたいと言っている人より、「自由な時間が多いという通信制高校の特色を生かして、自分がやりたい仕事に就くために勉強し資格を取得した」とアピールしている人の方が、企業へ熱意を伝えることができます。
これが結果として、自分の希望の業界・企業への就職へつながっていくのです。
不安解消法③ 就職に関するサポートが手厚い通信制高校を選ぶ
就職活動はアルバイトと違い、面接やエントリーシート対策など、さまざまなことを準備したうえで挑む必要があります。つまり、就職活動についての知識を得る必要があるのです。
大学だとキャリアサポートをしてくれる課がありますが、全ての通信制高校にこのようなセクションがあるわけではありません。
そのため、高校を卒業したら就職することを希望している方々は、就職に関してきちんとサポートしてくれる通信制高校を選ぶと良いでしょう。
不安解消法④ 専門的な分野を学べる通信制高校を選ぶ
私立の通信制高校には、全日制の高校が取り扱わないような専門的な分野を学べる学校もあります。専門的な学問は特別なコースで学ぶ必要があるので、企業からも重宝されます。
実際、通信制高校の普通科を卒業した人の就業率は約15%であるのに対し、専門的な学問を学んだ生徒の就業率は約30%です。ここからも、専門的な知識を得ると就職が有利になることが見て取れます。
専門的なコースの授業内容は、
・ビューティー・ファッション
・プログラミング
・デザイン
・保育
・イラスト
など多岐に渡ります。
どのようなコースがあるかは高校によって異なるので、興味のある分野があるか調べてみてください。
このような専門的な知識を学ぶためには、普通科のコースの生徒より通信制高校に多く通わなければなりません。しかし、専門的な知識を得たということは就職の際に大きな強みとなります。そのため、通信制高校に多く通ったという苦労は就職活動の際に報われるでしょう。
不安解消法⑤ 面接対策をしっかりとする
いくら通信制高校に対するイメージが上がってきても、全ての人事が良いイメージを持っているわけではありません。通信制高校に通っていたということは、なにかしらの事情があるのではないかと偏見を持つ人事もいます。
そのようなバイアスを就職の面接で払拭する必要があります。
そのためには以下のことに気を付けてみてください。
・笑顔ではきはきと話す
・困難なことがあってもめげずに試行錯誤し、達成できたことをアピールする
・趣味でもアルバイトでもいいが、熱中したことについて話せるようにする
・自己分析をきちんとする
これらのことは一朝一夕にできるようにはなりません。たとえバイアスを持っている面接官に当たってしまったとしても、これらのことを明確に説明できるよう、時間をかけて準備するようにしましょう。
おわりに
多くの企業が高卒を募集要件にしており、この「高校卒業資格」というものは全日制高校卒業であれ、通信制高校卒業であれなんら変わりはありません。そのため通信制高校を卒業し高卒の資格を取ることは、就職先の門戸を広げるという意味で非常に大切なことです。
通信制高校卒業を「高卒」と捉えない企業はほんの一部であり、多くの中小企業では高卒としてみなしてくれます。
加えて、通信制高校に対する評判も上がってきているので、通信制高校を卒業したから就職が不利になることはありません。自分の時間を多くとれる通信制高校在学中に、全日制高校に通っていたらできなかったであろうことができるか、そして自分が行ったことについて人事にアピールできるかどうかが就職活動を成功させるための秘訣です。
この記事を参考にして自分の就きたい仕事を手に入れてください。