通信制高校に通うことを考えている方の中には、すでに別の高校に通っている方も少ないかと思います。
別の学校から通信制高校へ転入・編入をする場合はタイミングによっては卒業時期も大きく変わってきます。
転入・編入する場合はどのようなポイントに注意するべきなのでしょうか。
この記事では実際に転入・編入を考えている方に向けて、転入・編入が可能な時期や通信制高校の選び方などを徹底解説していきます。
目次
通信制高校の転入と編入の違い
全日制高校に通った後、「やっぱり通信制高校で学びたい」と考えるようになった時には転入か編入をする必要が出てきます。
転入と編入は似たような言葉のため混同されてしまうことが多いです。
それぞれの言葉にはどのいった違いがあるのでしょうか。
転入とは
転入は「前に通っていた学校から間をあけずに違う学校に入学すること」を意味します。
例えば8月31日まで全日制高校に在籍して、9月1日から通信制高校に入学する場合には転入という扱いになります。
転入の場合には全日制高校に席を置いたままで転校という形式で通信制高校に入学することになります。
そのため、高校に在籍していない空白期間は一切ありません。
編入とは
編入は「現在通っている学校を一度退学した後に別の学校に入学すること」です。
例えば、全日制高校を退学した後にしばらくのブランクがある場合に、再度通信制高校に入学すると編入ということになります。
編入をする場合には高校に在籍していない空白の期間が生じてしまうことになります。
通信制高校に編入する場合には学年制ではなく単位制を採用しているので同じ学年をもう一度やり直すということはありません。
一方、学年制を採用している全日制高校に4月をまたいで編入する場合には、もう一度同じ学年をやり直すことになります。
通信制高校への転入・編入が可能な時期は?
転入・編入が可能となっている時期は公立と私立の通信制高校で若干の違いがあります。
公立の通信制高校であれば通常毎年4月に転入・編入の生徒を受け入れています。
学校によっては欠員状況により、二学期が始まる10月ごろに再度募集をおこなう学校もあります。
私立の通信制高校において転入・編入が可能な時期は、高校の方針によって異なります。
転入は基本的に常時受け入れをおこなっていることが多いです。一方編入は新学期が始まる4月と後期が始まる10月頃に受け入れている学校が多いです。
通信制高校は転入・編入希望の生徒が多くなっているため、年間を通して全日制高校に比べても生徒の受け入れが多くなっています。
興味のある通信制高校がある場合は資料を取り寄せて、いつ転入・編入をするべきなのかをしっかりと確認しておきましょう。
また、通信制高校の公式ホームページからも受け入れ時期の確認をおこなうことができるでしょう。
単位の引継ぎはできる?
通信制高校への転入・編入をする場合には、それまでに取得した単位をそのまま引き継ぐことが可能となっています。
単位の引継ぎは公立・私立の通信制高校に関わらずおこなうことが可能です。
以前に高校を中退してしまい数年のブランクがあったとしても、単位引継ぎの手続きをおこなうことで、それまでに取得していた単位を編入先の学校にも引き継ぐことができます。
編入の手続きの前に、以前在籍していた学校に連絡して取得単位を証明する書類を作成してもらえれば引継ぎができます。
入学願書を出す際に一緒に提出するようにしましょう。
通信制高校では転入・編入前に取得していた単位数に応じて学年は決定します。
学校ごとに多少の違いはありますが、取得単位数が0~5であれば1年次、6~39であれば2年次、40以上であれば3年次へ転入することになるでしょう。
1年で取得できる単位数は34と決まっており、高校卒業には計74単位の取得が必要になりますので、転入・編入時に6単位以上取得していなければ必然的に1年次からのスタートとなるのです。
転入や編入時に注意するべきポイント
通信制高校では全日制高校よりも転入・編入可能な時期が多いというメリットがあります。
しかし、転入・編入する年次によって気を付けるべき注意点があります。場合によっては進学や就職活動に影響してくることもあります。
ここからはそれぞれの年次における転入・編入時の注意点を解説していきます。
高1における転入・編入の注意点
高校1年時における転入・編入の注意点は「転入するタイミング」です。
仮に1年次の途中で転入をおこなうとすると引き継げる単位数は0となります。
通信制高校において1年間で取得することができる単位数の上限は30単位と定められているので、単位数0で転入・編入するとなると同級生と同じタイミングで卒業することが不可能となってしまいます。
高校1年生を終了してから転入することができれば、取得した単位を引き継ぐことが可能となります。
仮に1年次の途中で留年することが決定した場合でも、すぐに転入してしまうと引き継げる単位数が0となってしまいますので注意が必要です。
1年次で転入・編入を考える場合には焦って単位を無駄にすることがないように、冷静に考えてから転入をすることをおすすめします。
高2における転入・編入の注意点
高校2年生における転入・編入の注意点は「取得できる単位を無駄にしないこと」がポイントとなります。
2年次での転入・編入においても、現在進行形で履修している科目については引き継ぐことはできません。
全日制高校では単位を取得できるかどうかはテストに合格できるかどうかにかかっています。
中間テストや期末テストなどの大きなテストが直近に迫っている場合、テストを受けて単位を取得してしまってから転入・編入の手続きを行うといいでしょう。
また、同級生と同じ時期に卒業したいと考えるならば、転入後に引き継ぐ単位数によってカリキュラムが変わってきます。
同じ学年に転入するとしても引き継げる単位数によって学習ペースが変わってきますので注意が必要です。
高3における転入・編入の注意点
高校3年生における転入・編入の注意点は「2学期以降の転入」です。
通信制高校によっては転入後6か月以上在籍することが卒業条件となっている学校もあります。
この条件がある通信制高校に10月や11月ごろに転入してしまうと卒業の時期が遅れてしまい、同級生と一緒の時期に卒業することができなくなってしまうことがあります。
在籍期間に関しては定められていない通信制高校もあるのでしっかりと転入前に確認するようにしましょう。
高校3年次であれば50単位ほど取得していることが多いでしょう。つまり卒業までにあと20単位ほど必要となる状況です。
転入する時期や通信制高校によっては短期的に単位を取得できるように調節してくれる学校もあります。
こうした制度が整った通信制高校に転入することができれば単為引継ぎの際に多少のハンデがあっても同級生と同じ時期に卒業することも可能となってきます。
転入してから数か月後に卒業したい場合には、数週間で単位取得することが可能な学校もあります。
一方、残りの卒業に必要な単位数がわずかであっても柔軟性のない授業カリキュラムを採用している通信制高校の場合は、転入する時期によっては卒業時期が遅れてしまう可能性も考えられます。
転入・編入をする前に入学を希望する通信制高校としっかりと相談して、卒業までの残り単位数を最短でどれくらいの期間で取得することができるのか確かめることが大切です。
転入・編入の際にも入学試験はある?
幅広い入学時期を選ぶことのできる通信制高校ですが、転入・編入する際にも入学試験はあるのでしょうか?
通信制高校に入るためには入学試験がある
結論から申し上げますと、通信制高校に入学する際には入学試験が用意されているのが一般的です。
試験内容としてはおもに筆記試験、面接試験、作文の試験などが実施されます。
とはいっても全日制高校の試験と比べると受け入れる生徒を割合は圧倒的に多いので合格率は高めとなっています。
通信制高校の入学試験は面接対策がポイント
私立の通信制高校を受験する場合には筆記試験はなく、面接と書類選考のみというケースが多いです。
通信制高校の入学試験がどんなに合格率が高いとはいっても稀に不合格となってしまう生徒もいるのも事実ですので、油断は禁物です。
通信制高校の入学試験で一番のポイントとなるのは「面接対策」です。
服装は派手なものを避け、できれば中学や高校の制服を着用して面接に臨むようにしましょう。
通信制高校には全日制高校のような厳しめの校則がないことが多いので、茶髪やピアスなどは問題とされないかもしれません。しかし、一般的なマナーとして面接の際は黒髪でピアスなどのアクセサリーは外すほうが無難でしょう
面接の際に聞かれる質問についても、そこまで難しいことを問われることはありません。聞かれる内容としては「この学校を選んだ理由」「卒業後の進路の希望」などの基本的な質問をされることが多いでしょう。
面接官の目をみて、自分の意見をしっかりと伝えるようにしましょう。
また、入室・退室時などの挨拶のマナーは最低限気を付けるようにしましょう。
転入・編入のための手続き
転入・編入することを決定した後に、実際におこなう手続きはどのような流れになるのでしょうか。必用書類とともに確認していきましょう。
資料請求
はじめに入学を希望する学校の情報を集めることが必要です。
資料請求で希望校の目星をつけることができたら、次に学校説明会や見学会に参加するなどして学校に足を運んでみましょう。
通信制高校の授業カリキュラムや雰囲気、校内イベントの種類など、疑問点はこの段階ですべて解消しておくことが大切です。
願書の取り寄せ
転入・編入をする学校が決定したら、願書の取り寄せをおこないましょう。
ウェブ願書を受け付けている通信制高校ではインターネット上で願書の出願をおこなうことができるので願書の取り寄せは不要になります。
資料請求の際に同時に願書ももらうことができる学校や、学校説明会の際に願書を受け取れる通信制高校も存在します。
書類提出・選抜料の支払い
願書作成が終わったら提出する必要があります。
通信制高校によっては郵送での提出やインターネット上で提出が完結できる学校もあります。
また、選抜料(入学検定・受験料)の納入もおこなう必要があります。
振込時の控えなどを出願の必要書類としている通信制高校もあるので、そのような場合は必要書類と同時に提出する必要があるので注意しましょう。
ウェブ出願が可能な通信制高校ではクレジットカード決済などが可能となっているケースもあります。
入試
上述したように通信制高校への転入・編入の際には入学試験が実施される学校が多いです。
学力試験がおこなわれることは少ないですが学校によっては実施されることもあるので事前に確認するようにしましょう。
学力試験などがある場合は、しっかりと事前に対策するようにしましょう。
合否発表
選考結果通知などによって合否の結果は連絡されます。
通知方法なども通信制高校ごとに異なるので、転入先の高校に確認するようにしましょう。
一般的に合否発表とともに学費の入金に関する案内などもおこなわれます。
学費の入金などは期日までに済ませるようにしましょう。
転入・編入における通信制高校選びのポイント
転入・編入を考える際には希望の通信制高校を見つけなければなりません。
通信制高校は日本だけでも数え切れえないほど存在しています。
手当たり次第に探してもいいですが、なかなか自分の希望に合った通信制高校を見つけることは難しいです。
通信制高校は大枠で3種類に分類することができます。
3種類の通信制高校の中でまずはどの分類が自分の希望する学校に当てはまるか確認してみましょう。
専門に強い通信制高校
通信制高校では通常の授業のほかにも「専門科目」を学ぶことができます。
「専門科目に強い通信制高校」では、普通の全日制高校などでは学ぶことが難しい専門科目の授業が充実しています。
専門科目に強い通信制高校の場合は卒業後にスムーズに専門学校に進学することができます。
全国には専門科目に強い通信制高校が数多く存在するので、これらの学校の中でも自分がどんな専門科目を勉強していきたいのか考え、それに合わせて通信制高校を決めるのも賢い選択です。
進学に強い通信制高校
通信制高校を卒業した後の進路として大学に進学したいと考えている方も多いかと思います。
そんな方にお勧めなのが「進学に強い通信制高校」です。
進学コースや受験コースなど受験時に特化しているコースが幅広く用意されているので効率よく勉強を進めていくことができるでしょう。
進学に強い通信制高校における教師のレベルはほかの学校と比べても高いことが多いので、卒業後に大学進学を考えている方はぜひ検討してみることをおすすめします。
不登校に強い通信制高校
「不登校に強い通信制高校」では、不登校の方への手厚いサポートを行っています。
登校頻度を生徒一人一人に合わせて調節することができたり、保護者や生徒自身がカウンセラーいつでも相談することができたりと、生徒をサポートする制度が充実しています。
家庭訪問を頻繁に行ってくれる通信制高校などもあるので、不登校で悩んでいる方はこのような通信制高校を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは学校に通い続けることが大切ですので、そのためのサポートが充実している通信制高校はおすすめです。
自分に合った通信制学校への転入・編入を見つけよう
通信制高校に入学を希望する場合、その時点で他の学校に通っていれば「転入」、すでに中退し学校に通っていなければ「編入」の手続きをとることになります。
転入か編入かによって入学時期や必要な書類や手続きが変わってくるので、早めに自分がどちらに当てはまるのかを確認して準備を進めていくことが大切です。
単位に関して中退する場合は引き継ぐことが難しい場合があるので注意が必要です。
卒業のタイミングも遅れてくる可能性も十分に考えられます。この記事を参考に自分の状況を事前にしっかりと確認するようにしましょう。