通信制高校はさまざまな事情で高校に進学できなかった人や高校を中退した人が通信教育で学び、高校卒業資格を取得するための学校というイメージを持っている方は多いでしょう。
しかし、そんな通信制高校は、大学進学に不利だろうという心配が持たれているのも事実です。
はたして、通信制高校は大学進学できるのかについて、今回は徹底的に解説していきます。
通信制高校での将来の進路の影響は?
高校を中退してしまった、中学で不登校だった、受験で全日制高校に落ちて、仕方なくといった理由で通信制高校に進学する人が多くいるでしょう。
そのため、通信制高校に対してネガティブなイメージを持つ人は少なくありません。
しかし、通信制高校は単なる人生の通過点でしかありません。
社会にでると、どの高校から卒業するかよりも、どの大学から卒業するという最終学歴が重視されます。
大学や専門学校に進学してしまえば、そこがあなたの最終学歴となり、どこの高校に通っていたかを問われる機会はほとんどありません。
もし、通信制高校出身者だと知られても、大学や専門学校に進学していれば、コンプレックスをバネにして、頑張ったという証となり、むしろ評価が高くなります。
要するに、通信制高校に対する世間的偏見があったとしても、高校卒業後の進路次第でいくらでも挽回することができるのです。
通信制と全日制の卒業証書が同じ学校もある
通信制高校の中には、「○○高校通信制課程」という特徴的な名前の学校があります。
そのため、履歴書に卒業校を記載すると、通信制高校出身だとバレてしまうケースがあります。
世間の偏見を心配して、通信制高校出身だと知られたくないという人は不安に思うかもしれません。
しかし、通信制高校の中には、併設の全日制高校と同じ学校名の卒業証書が得られる学校があります。
そういった学校であれば、学校名から通信制高校出身だと知られることはありません。
また、通信制の高校卒業資格であっても、全日制高校の卒業資格とまったく違いはありません。
全日制と同じように大学や専門学校へ進学できますし、高卒以上が条件の求人に応募することもできます。
高卒認定との違いは?
また、よく誤解されるのが高卒認定試験合格(旧・大検)との違いです。
高卒認定試験合格は高校卒業と同等の学力があるということを証明するもので、最終学歴は高校卒業ではなく、中学卒業となります。
その一方、先ほどもお話ししたように、通信制高校から卒業すると、「高卒」という資格が得られます。
そのため、大学進学への資格としては、高卒でも高卒認定でも変わりませんが、履歴書への記入や他人が学歴に伝える必要がある時に、通信制高校と高卒認定がまったく別物です。
評価は卒業後の自分次第
通信制高校に通っていたことをプラスにするか、マイナスにするかは自分次第です。
例えば、通信制高校には、不登校や高校中退など、自分と同じような挫折を経験している生徒が集まっています。
そのため、自分の気持ちを理解してもらいやすい環境にあります。
中学ではクラスで孤立していたのに、通信制高校に通うようになってから、友達ができたという人も大勢います。
通信制高校に通っていたときに、対人関係に自信をつけることができたため、社会に出てからも人間関係をうまく構築できるようになったという声も数多く聞きます。
また、全日制高校と違い、通信制高校には自由になる時間が多いというメリットがあります。
その分、やりたいことに集中することができるのです。
学校によっては、ゲーム、アニメ、音楽、ダンスなどのオプションコースがあり、全日制高校では学べないような専門知識や技術を身に付けられます。
そのため、あえて時間が自由になる通信制高校を選択している人達もいます。
中には、第一線のプロフェッショナルとして活躍し、高い評価を得ている人も少なくありません。
いずれにしても、通信制高校は高い自己管理力が求められていますが、自分の評価は卒業後のあなたの姿で決まるもの。
通信制か全日制かではなく、在学中に学んだことを武器に、卒業後、どのように社会で羽ばたくかにかかっています。
通信制高校から大学進学できる理由
先ほどもお話ししたように、通信制高校卒ということは、大学進学に何の影響を与えず、実際に通信制高校を卒業して大学に進学する生徒が過去に大勢にいます。
それでは、通信制高校卒でも大学進学ができる理由を見ていきましょう。
学力はあるが全日制高校に通う事に抵抗がある
文部科学省が全日制高校を中退した生徒の学校を辞めた理由を調査した結果では、学業不振で中退した生徒の割合は意外に低く、だいたい全体の6%程度です。
ちなみに、昭和57年ごろは学業不振を理由にした生徒は20%程度いましたが、年々減少しています。
一方で増加しているのは学校生活への不適応や進路変更です。
別の高校への入学を希望したり、就職を希望するといった理由が目立ちます。
こういった生徒は決して学力が低いわけではありません。
むしろ、自分のライフスタイルに合った勉強プランのある通信制高校で学ぶことで、大学に進学していることがわかります。
通信制高校の指導の充実さ
通信制高校には公立と私立があり、多くは自宅学習になりますが、それだけで進路指導はしっかり行っているところがたくさんあります。
特に私立の通信制高校では、個別相談に応じたり、さまざまなコースを設置したりして進路指導に力を入れています。
何らかの事情で全日制高校を選択しなかった生徒のやる気を汲んで、大学合格までサポートしているということが通信制高校からの大学進学率の高さに現れているのでしょう。
大学用充実の充実さ
私立の通信制高校の中には大学進学コースを設けて、理系私立対策や難関国立大学対策など目的に合わせた受験対策を行っています。
また、大手予備校と提携してサテライト授業を受けたり、サポート校で個別授業をしたりといった学習方法が選べる点も大学進学を目指す人にとってメリットとなります。
通信制高校での大学進学サポート
通信制高校では大学進学に向けて、どのようなサポートをしているのでしょうか。
特に私立の通信制高校ではさまざまなサポートを実施しているので、いくつかの例をご紹介します。
大学進学専門コース
1つ目は特進コースを設けてるということです。
例えばある私立の通信制高校では特別進学コースがあり、標準コースの学習に加えて現役予備校講師のライブ配信講座やWeb講座などを提供しています。
特にWeb講座は学校でも自宅でも何度でも繰り返し視聴できるので、わからないところを徹底的に学習できます。
また国公立大のセンター試験対策や看護・医療系大学講座、小論文の講座などもあるので、志望校合格に向けてスムーズに学習が進められます。
マンツーマン指導がある
2つ目はマンツーマンや少人数授業で学力に合わせた指導の実施をしてるということです。
個別指導や少人数授業のメリットは、生徒のつまずいている点や理解できていない点を教師がいち早く気づける点にあります。
わからないところをそのままにせずに着実に理解してから次に進めるので、学習の成果が出やすいのです。
勉強の楽しさを実感できる上に、教師と密に進路相談ができる点が通信制高校のいいところだと言えます。
一人一人にあった学習プラン
3つ目は生徒に合わせたカリキュラムがあるということです。
生徒によって学力には差がありますし、得意科目・不得意科目も生徒によって異なります。
そこで通信制高校では、生徒ひとりひとりに合わせたカリキュラムを組んでいます。
通信制高校は基本は自宅学習が中心ですが、大学進学を目指す人にはキャンパスでの通学を可能にしているところがたくさんあります。
とは言っても全日制高校のように週5日、毎日5時間授業ということはなく、先生と一緒に考えたカリキュラムに沿って登校し、わからない点を教えてもらうことができます。
指定校推薦がもらえる事もある
通信制高校では提携している大学に指定校推薦で受験できるところがあります。
公立、私立を問わず、通信制高校でも推薦を出してくれるところもあります。
また、グループ校同士が連携していて、受験しやすい配慮をしているところが多くあります。
全日制高校で学ぶより、通信制高校の方が指定校推薦を受ける場合の競争率が低いため有利かも知れません。
通信制高校ではどの様に勉強すればよいか
今までは通信制高校のよさなどを伝えてきましたが、今からは通信制高校に通ったら実際にどの様に勉強すれば大学進学しやすいかを伝えていきます。
予備校に通う
通信制高校から大学進学を目指すのなら、予備校に通うことが一番の近道です。
予備校に通わずに大学進学が叶えるということは、不可能ではありませんが、なかなか難しいことでしょう。
そのため、自己管理力や学力に自信がなければ、予備校に通うことを強くおすすめします。
予備校に通うことには大きく分けて3つのメリットがあります。
学力の向上
1つ目は、大学受験に向けた学力の向上です。
先程もご紹介したように、多くの通信制高校のカリキュラムは大学進学を目標にしたものではありません。
では予備校はどうでしょうか。
組まれているカリキュラムはただ単に学力向上を目指すのではなく、全ての内容が大学受験合格を目指して作られています。
そのため、基礎的な内容だけでなく、実際に入試に向けた応用的な情報や、勉強のコツなども教えてもらうことができます。
予備校ならではの進学アドバイス
2つ目は、予備校で受けられる実践的なアドバイスです。
講師やスタッフの方々も大学受験のためのプロフェッショナルです。
各大学の傾向や、大学合格を目指した勉強方法など、もらえるアドバイスも実践的です。
自分自身の進路について迷ったり、どの専攻に進めばよいのかがわからなかったりする時は、遠慮なく聞いてみてください。
勉強環境も抜群
3つ目は、勉強に集中しやすい環境です。
同じ予備校に通う学生たちもみな大学進学を目指しているので、通信制高校の授業や自宅学習よりも、勉強しやすい環境です。
予備校には多くの大学の赤本も揃っているので、効率的に大学進学に向けて学力を向上させていくことができます。
でも、たくさんある予備校の中から、どうやったら自分にぴったりなところを選べるのでしょうか?
予備校選びのポイント
予備校に通うといっても、世の中に星の数ほどある予備校のなかから、どれが自分にとって一番適しているかどうかを見極めるのはなかなか難しいことでしょう。
それでは、予備校を選ぶ際に3つの注意して欲しいポイントを伝えていきます。
自習室の雰囲気
1つ目は自習室の雰囲気です。
通信制高校の生徒の場合、全日制・定時制と比べて日中の時間を勉強に使うことができます。
そのため予備校に設置されている自習室を使う機会が多くなりますが、集中して勉強できる環境が整っているか事前に確認しましょう。
参考書がどれくらい揃っているか、間仕切りなどある程度のプライベートがあるか、利用可能時間などをチェックしましょう。
講師との距離
2つ目は、講師との距離です。
進学校に通っている高校生の場合、学校に大学進学に関する情報が揃っている場合が多いですが、通信制高校の場合、なかなか必要なアドバイスが受けられないこともあります。
そのため予備校を選ぶときには、話しやすい講師やスタッフが揃っているところを選びましょう。
また、人気の先生なら多くの受講生を抱えており、先生自身が話しかけやすくても、なかなか近付けられないこともあります。
費用もチェックして
3つ目は、費用です。
予備校の学費は決して安くありません。
もちろんしっかり活用すればその価値がありますが、経済的に負担になりすぎないところを親と相談しながら選びましょう。
ただし、極端に安い予備校はだいたいの場合、何らかの裏事情を抱えているため、費用の安さだけでは選ぶのが危ないでしょう。
予備校に通うデメリット
通信制高校に通いながら大学受験を目指す場合、予備校に通うのが近道なのは間違いありませんが、予備校に通うことにはデメリットもあります。
すでにご紹介したメリットとこれから取り上げるデメリットをよく検討して、勉強方法を決定しましょう。
大きく分けてデメリットは2つあります。
金銭的負担が大きい
1つ目は、費用面の負担です。
最近ではフレキシブルな受講スタイルが多く受講料もそれぞれですが、それでも予備校の費用は決して安くありません。
平均すると、年間40万から100万ほどかかると言われています。
経済的に負担できるかどうか、親とも相談が必要です。
苦手科目だけを重点的に勉強したり、集中的に勉強できる短期講座を活用したり、予備校の利用の仕方で必要になる金額も変わるので、上手に活用しましょう。
時間管理が大変
2つ目は、勉強と両立しながら、時間管理の能力が求められています。
通信制高校の場合、学校に毎日通学しない分、レポートの提出が多い傾向があります。
予備校でも宿題が出るので、自宅での勉強をしっかり両立させる必要があります。
通信制高校のレポートは分量としてそんなに多くはありませんが、うかっり出し忘れてしまったりすると、最悪単位が取れなくなってしまう恐れもあるので、こまめにレポート提出期間の締め切りをチェックするようにしましょう。
予備校と連携している通信制高校もある
通信制高校の中には受験に強い大手予備校と連携しているところがあります。
受験はその年によって試験内容の傾向が異なります。
受験勉強と言えば志望校の過去問題集を取り組む人が多いと思いますが、受験は最新情報を得ることが重要です。
2~3年前の過去問を一生懸命勉強しても、自分が受験するときには出題の傾向が変わっている可能性があります。
そういった最新情報は予備校や大手進学塾が研究しているので、それに沿った学習をするのが合格への近道です。
私立の通信制高校の中には、こういった予備校や進学塾と提携して最新情報を入手しています。
さらに予備校で使用しているテキストや問題集を使ったり、サテライト授業を受けたりできるところもあります。
回り道をせずに合格に進んでいけるのがメリットだと言えるでしょう。
また学校単位で予備校と連携しているので、費用の面や、両立する面での難しさといった予備校のデメリットも解消されているのが特徴です。
まとめ
通信制高校は色々な偏見がありますが、実は大学進学ができるかどうかはまったく学生本人次第です。
通信制高校で学びながら大学進学を希望する人は、まず各通信制高校の大学進学への取り組み内容や過去の合格実績などを調べてみましょう。
進学に力を入れている通信制高校では、ホームページに特進コースや進学コースの有無、進学への取り組み、合格実績などを掲載しています。
その中で自分に合った学校を選ぶのがポイントです。
また、事前に資料請求をしたり、学校説明会に参加したりすると、より学校の取り組み姿勢がわかるのでおすすめです。
また予備校に通う事で更なる学力向上が見込めるので予備校に通うのもおすすめします。