通信制高校に私立・公立の二種類があるということをご存知の方はたくさんいるでしょう。
しかし、いったい私立・公立の通信制高校にはどのような違いがあるでしょうか。
今回はそれぞれの特徴を踏まえつつ、通信制高校を選ぶ際の注意点を紹介していきます。
目次
私立と公立、それぞれの違いとは?
普通の全日制高校にも私立の高校と公立の高校があります。
その違いは想像してみればなんとなくお分かりになるはずです。
それでは、私立の通信制高校と公立の通信制高校にはどのような違いがあるのでしょうか。
学費の差がある
やはり全日制高校と同じように、最大に違いは「学費」にあります。
私立は公立に比べると10倍以上に高くなることもありえます。
通信制高校は基本的に単位制を採用しているが、一単位あたりの授業料は学校の種類によって異なります。
公立の場合は、1単位の授業料に換算するとおよそ180~1200円程度ですので、3年間で10万円で卒業が可能な学校もあります。
一方で、私立は私立の全日制高校と同様に高額で、1単位当たりの授業料はおよそ5000円~12000円かかると言われています。
こう見ると、公立と比較すると圧倒的に私立の学費が高いことがわかりましたよね。
「私立は少し高すぎなのでは?」と思った方は多いのではないでしょうか。
しかし、授業料が高い分、私立の通信制高校には「サポート体制」、「学生へのフォロー」、「卒業のしやすさ」、「専門的な学習ができる」などの強みを持っています。
あまり勉強に自信のない方は、授業料が若干高くても、サポート体制の整えている私立高校を選んだほうがベターでしょう。
学習内容と学習方法
学習方法に関して公立・私立はともに自主学習という体制をとっていますが、学習内容は異なります。
公立はシンプル
公立は、中学校で学習する内容は理解できているといった前提のうえで、高校程度の授業が行われます。
なので、中学校レベルの学習で理解できなかった箇所は各自で学習しなければなりません。
もちろん、わからない箇所を先生に教えてもらえるといったサポート体制も整っていません。
そのため、公立の通信制高校に通うには、ある程度の独学の能力が求められています。
さらに、公立の通信制高校は基本的に知識を教えるのみで、大学進学対策講座や趣味講座などは一切やっていないので、大学進学志向の方や多趣味の方にはあまり不向きでしょう。
私立はしっかりサポート
一方で、私立はサポート体制が整っており、中学校レベルの学習でつまずいてしまった学生には、その学生に合ったレベルから学習を始めることができます。
また、登校日に学習や自身に関することを在中のカウンセラーに相談することができます。
ある程度の学力があり、自分で問題解決ができる学生は公立、中学校までの学習でつまずいてしまった学生には私立が適していると言えるでしょう。
このように学習方法や学習内容が異なる公立・私立の通信制高校ではどのような卒業率の違いがあるのでしょうか。
公立の卒業率はおよそ10パーセント、私立はおよそ40パーセントに推移しています。
また公立の通信制高校では、全員が3年間で卒業をすることができず、一部の学生は卒業が遅れてしまうことがあります。
これらは、学校のサポート体制や学習内容が大きく関係していると考えられます。
私立は専門科目が豊富
私立は公立にない専門科目が用意されています。
私立は通常科目に加えオプションとして専攻が可能なのです。
そのため、中学校卒業の時点で夢が決まっている場合や、やりたいことが明確になっている学生にとっては目的に直結した学習ができ、夢への近道になるかもしれません。
そこでたくさんの専門科目が用意されている「ルネサンス高等学校」を例にあげていきます。
ルネサンス高校は東京・大阪・愛知の主要都市に拠点をおく私立の通信制高校で、以下の専門コースが用意されています。
- 英会話コース(外国人とのコミュニケーションが取れるようになる)
- 美容師養成コース(美容師国家試験の基礎が学べる)
- パソコン実用コース(文書作成やデータ処理など就職先で必要なスキルを学べる)
- ビューティーコース(サロン直営のスクールに通いプロからの指導が受けられる)
- 芸能コース(提携先の養成所に通うことができる)
- 海外留学コース(海外留学を経験することができる)
- 会計プロフェッショナルコース(公認会計士・税理士・簿記の資格を取ることができる)
- 健康・手に職コース(整体師・セラピスト・トレーナになるためのスキルが身につけられる)
- 音楽コース(音楽を仕事にすることができる)
- エンジニア国内留学コース(3カ月で基礎的なスキルを身につけられる)
- 個別授業コース(マンツーマンできめの細かい学習サポートが受けられる)
このように多様な専門コースによって、学生が自分のやりたいことを見つけるきっかけになったり、同じ夢に向かって頑張る仲間と切磋琢磨できる環境があり、これらは全日制・定時制高校にない私立の通信制高校だけの強みといえます。
通信制高校選ぶ際の注意点
私立と公立の通信制高校の違いとそれぞれの特徴がありますが、通信制高校を選ぶうえでの注意すべきポイントもあわせて説明していきます。
- 「自主性」が大事
- 人間関係がつくれない
- 大学進学が難しい
「自主性」が大事
一つ目は「自主性」があげられます。
なぜなら通信制高校は基本的に自宅での学習がメインの学習です。
そのため、自分で計画を立て、自ら進んで課題をこなせる自己管理能力が求められます。
さぼり癖のある学生や勉強に苦手意識のある学生、勉強する習慣のない学生にとっては、通信制高校は不向きでしょう。
週5日の登校日や定期テスト、長期休業中の課題、学校によっては学力定着のための小テストを実施していたりと、先生によって強制的に管理されている全日制高校も検討してみるべきではないでしょうか。
どうしても通信制高校がよい場合は、サポート校が併設されているところあるいは先生のフォローがしっかりしているところをえらぶとぶなんでしょう。
人間関係がつくれない
2つ目の注意点として、友達との交流が少ない点です。
通信制高校は基本的に月に数回の登校日しかなく、クラスの生徒全員が出席するわけではないので、仲の良い友達ができづらいのです。
学校で信頼できる友達がいることは、学生生活を充実させるためには不可欠な要素です。
友達を作ることで、集団生活において自分の果たすべき役割や人間関係について学ぶことができます。
また、大学受験をする学生にとっては、仲間の存在は大きな力になります。
なかなか学力が伸びず悩んでいる時に励まし支えてくれるのは仲間です。
また仲間同士で問題を出しあい答え合わせをすることは、記憶に残りやすくなり、気分転換にもなります。
大学進学が難しい
3つ目は、もし大学への進学を目指すなら、通信制高校の授業だけでは足りないところです。
通信制高校は基本的に高卒の資格をとるための学校ですので、それ以上の知識を教えることはほぼありません。。
そのため、大学進学したい場合は、併設のサポート校を利用するか、校外の塾に通うか、各自プラスαで目標大学レベルの学習をする必要があります。
これらのことを踏まえて大学を考えている学生は検討をする必要があります。
まとめ
私立の通信高校は、学費は高いが学生へのフォローが手厚く専門科目が豊富で将来のやりたいことが見つけやすい。
それに対して、公立の通信制高校は、学費が安く経済的な誰でも通いやすい、自分のペースで学習できる、自由な時間が多いので自分の好きな事に専念できる。
という特徴と先述した注意点を加味した上で、学生それぞれに納得のいく通信制高校を選んだほうがよいでしょう。