通信制高校は、普通の全日制高校とは違って、学生の通学をあまり要求していません。
そのため、全日制高校では三年在籍して、試験さえクリアすれば卒業できますが、通信制高校の場合は、「単位制」という特殊な制度をとっています。
「単位って大学の卒業要件じゃない?」という疑問をもっている方は決して少なくないでしょう。
ここでは、通信制高校の「単位制」を紹介していきます。
目次
単位制と学年制の違いって?
通信制高校には単位制採用しているところもあれば、学年制を採用している通信制高校もあります。
ここでは単位制と学年制の違いと特徴を説明して、それぞれのメリットについても話していきたいと思います。
単位制と学年制、それぞれの特徴は?
高校を卒業するために「単位」というものを取得する必要があります。
主に単位とは授業を受けた時間のことを指します。
そこで通信制高校を卒業するために3年以上学校に在籍して決められた単位を取得しなければなりません。
そこで単位制と学年制の違いはこの単位の取得するペースの違いです。
単位制とは?
単位制は1年間で単位を修得しなければならない単位数が定められていないのが最大の特徴です。
3年間で決められた単位さえ取得できれば、卒業できるので留年(正確には原級措置)というものが基本的にありません。
しかし、3年間で必要な単位を取得できなければ卒業をすることができないので、そういった意味では注意が必要です。
学年制とは?
一方、学年制の場合は1年で取得しなければならない単位数が定められています。
もしそれらの単位を取得できない場合は留年をしてしまい、取得できなかった分の単位を同じ学年で取得しなければなりません。
このように二つの単位制と学年制の大きな違いは卒業するための単位の取得ペースであります。
次に学年制とのこのような違いがある中で、単位制のメリットについてお話していきたいと思います。
単位制のメリット
それでは、単位制のメリットとは何なんでしょう。
基本的に以下のメリットが考えられます。
- 留年がありません
- 以前の高校の単位を引き継ぐ
留年がありません
一つは先程もお話ししたように、留年という措置がとられないことです。
これは通信制高校を希望する人の中には仕事があるなどの忙しさを理由に選ぶ人が多い中で、大きなメリットとなるでしょう。
自分の時間に合ったカリキュラムを組むことができるので、その時期や状況に合わせて学習することができます。
以前の高校の単位を引き継ぐ
また、転校をする場合に、以前の高校の単位を引き継ぐことができるのも大きなメリットの一つだと思います。
これは学年制の通信制高校と比較すると、他の学校への編入や転入がしやすくなっています。
これまで取得した単位、時間を無駄にすることなく学校を変えることができるのです。
単位取得の方法と引継ぎ
さて、そういった単位はどのように修得できるでしょうか、以前の高校で修得済みの単位をどうやって引き継ぐでしょうか。
ここで詳しく説明していきます。
単位制の基本ルール
通信制高校のほとんどでは単位制を採用しています。
そこで通信制高校は卒業をするために、必修科目や選択科目を合わせて74単位上取らなければならないという決まりがあります。
たとえば1年で30単位を取得し、2年でも30単位を取得すると、3年生の時に14単位のみで済みます。
こういった取得方法をとって大学受験に備えるという方法もあります。
また、逆に一年目は忙しくて14単位しか取れなかったとしても、2年3年と30単位ずつ取ることができれば卒業することができます。
このように3年間で累計74単位を取得することで卒業要件を満たすのです。
単位の修得方法とは?
では、この単位はどのように修得できるでしょうか。
授業内容は全日制高校と全く同じ
通信制高校のカリキュラムは一般の全日制高校や普通科高校と同様に、国語、数学、英語、化学、物理、生物、日本史、世界史、地理などと教科ごとにしっかり構成されています。
また、数学ならば数学A、数学Iや日本史なら日本史A、日本史Bと細分化されています。
そして、取得すべき単位はこれらの科目ごとに振分けられています。
決められた回数のスクーリング(登校しなければいけない日)やレポートの提出、単位認定試験などをパスすることで単位を認められ、取得することができます。
科目ごとによって単位の選定方法は異なりますが、それぞれしっかりと取り組めば単位を取得することは容易だと思います。
特別活動の単位も必要
また、特別活動というものも存在します。
これは通常の単位認定の他に、特別活動として30時間分の単位を行う必要があります(1単位あたり50分なので36時間分の単位です)。
特別活動とは、入学式や卒業式、体育祭、体育実習、クラブ活動、ホームルームなどの通常の全日制高校でも行われるような課外活動の全般のことを指します。
本来ならば3年間での卒業を目指しているならば、年間約10時間もの課外活動が必要になりますが、レポート提出などをすることで特別活動の単位の時間を最大8割カットすることができるのです。
そのため、課外活動が多すぎると心配している方はご安心ください。
単位の引継ぎとは?
次に、通信制高校に転入などを考える人にとって疑問となるだろう、単位の引継ぎについてお話ししたいと思います。
先程も話した通り、通信制高校では通算で3年間以上の在籍と、合計74単位の取得が卒業に必要となります。
しかし、一度高校を中退した人は以前の高校の単位と在籍期間を次の転入先の高校に引き継ぐことができるのです。
単位の引き継ぎ方法
単位の引き継ぐための条件として、以前に通っていた高校の「在籍期間証明証」と「成績単位取得証明証」を作成してもらわなければいけません。
また、高校によっては単位の制限があり、最低限いくつかの単位を取得しなければ「成績単位取得証明証」を発行しない場合もありますので、事前に確認が必要です。
その他に、成績証明書、教育課程表などが必要になるケースもありますので、注意が必要です。
主に高校中退者が単位と在籍期間を通信制高校に引き継いで編入する場合の手順は以下の通りです。
- 資料の請求を行う
- OC(オープンキャンパス)やガイダンス、学校説明会を受ける
- 入学出願をする(このタイミングで先程お話しした証明証が必要になります)
- 編入試験を受験する
- 入学の手続きを行う
このような流れとなっています。
転入先として人気の通信制高校
基本的にほとんどの通信制高校が転入、編入を受け入れています。
その中で全国展開をしている通信制高校や同じ境遇の人が多いような通信制高校をいくつか紹介したいと思いまうす。
- さくら国際高等学校
- 鹿島学園高等学校
- 飛鳥未来高等学校
- ヒューマンキャンパス高等学校
- 第一学院高等学校
- 中央学院高等学校
- ルネサンス高等学校
- 国士舘高等学校通信制
などがあります。
まとめ
これまで通信制高校における単位制と学年制の特徴とその違いや、単位取得の方法、単位・在籍期間の引継ぎの方法などについてお話してきました。
今まで話してきたことは基本的にどの通信制高校においても当てはまることです。
もし、これから通信制高校への編入や入学を考える方はこれらの特徴や方法を踏まえて、それぞれの通信制高校の特色についても調べる必要があると思います。
どの通信制高校にもそれぞれの特徴あるサポート体制や授業のコースなどがあります。
これらをしっかり調べたうえで、自分に合った学校を見つけることが「高校卒業」の資格を取るためのカギとなってくるでしょう。
自分の生活の状況や性格を学校の強みや弱みと照らし合わせながら、一番合った母校となる高校を見つけられることを望んでおります。